洋風料理 くしのはな


 つつじが丘にはミニゴールデン街とも呼べる
 「富士見街」という
 ドラマのセットみたいな飲み屋街がある。
 京王線を使っている人なら、車窓から見たことがあるはず。

 その飲み屋街で、
 本当の、本物の、嘆息の出る料理を出している小さな店がある。

 店内の黒板に書かれたメニュー。
 これはまぎれもなく、
 アビニョンのビストロ風である。
 その志の高さ。
 そしてあり得ない料金設定。

 これだけの料理をこの値段で
 しかも・・・酔って価値がわからなくなっているような人にも出す。

 マスター、何かの苦行をなさっているのですか?

 と、思わず聞きたくなる店主の横山さんは無口な人だ。
 お店の中は、
 子連れでいらした方の、その子供が描いた絵が飾ってあるぐらい。
 余計なものはない。
 余計なこともしゃべらない。

 ただ黙々と素晴らしい料理を作られる。
 「でも・・・」と、ある時横山さんが口になさった。
 「お客さんがまったくらっしゃらない時もあって」

 その、表情をちらりと垣間見た時、
 ボクの体に走ったあの義憤のようなものは何だったのだろう。

 「富士見街」・・・酔客以外は入りにくいです。
 だからこそこの名店が人知れずあるのだが、
 幾ら何でもこの努力、これが世に知れないのはおかしい。
 もう少し人が来てくれたらいいのに、
 と激しく思った次第です。


 
 
 洋風料理 くしのはな
 182-0006 東京都調布市西つつじが丘3-25-1
 TEL&FAX 042-480-6570

 休業日:なかったんじゃないかなあ。毎晩遅くまでやっています。
     ウイークデーであれば午前4時ぐらいまではOK。

 行き方:京王線つつじが丘駅の北口ロータリーを左に折れ、
 三菱UFJのATMとドトールの間のしょぼい商店街をまっすぐ。
 すぐに「富士見街」の看板が見えてきます。
 富士見街に足を入れて、すぐ右です。


 これが看板です。ゆっくり食事を楽しむためには、早い時間の方がいいかもしれません。また、店内は10人前後で目一杯ですので、お店に行く時間がわかるなら予約をした方がいいと思います。
座ってすぐに出てくるつきだしからして、この凝りよう。蕪の煮たのに鴨肉。何やら紫芋で作り上げた逸品もありました。
歯ごたえのあるおおぶりのタコとオリーブオイルの香りがたまりません。「たこの海鮮サラダ」 600円
目を見張る取り合わせ。この斬新な味わい。思わず、唸ります。「白つぶ貝のカルパッチョ」 650円
かかっているエビソースが濃厚で、これだけで幾らでも飲めてしまう。まさに誠実ここに極まりき。「舌平目のソテー、エビソースがけ」 780円
なぜこれをつつじが丘で用意しているのだろう。「マングローブ・ソフトシェルの素揚げ」 680円
ミツ君が、「しっかり育てた地鶏ですか?」と聞き返した「ホロホロ鳥の手羽元の唐揚げ」 600円 (なんじゃ、この値段設定!)
舌だけではなく、鼻腔も咽も喜びに歌い出します。香りが本当においしい。「牛肉のふきのとう味噌焼き」850円(おろしたふきのとうで焼いている)
やっと通常値段のものに出くわしたと思いきや、食べているうちに、「これもやっぱり思いきり詰め込んである」と静かな感動が始まる「醤油焼そば」850円
普段は甘いものをあまり食べないミツ君の顔がとろけた「シフォンケーキ」500円

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