百万年の瑠璃の鳥  2012年

 故郷に鉄人立つ


 朗読者 ドリアン助川始動!
 まずは朗読サイト「地と風の向こうに」
 絶版本を声で蘇らせるよ!

 「地と風の向こうに 〜旅の言葉、生きる言葉〜」
 (http://durian.ocnk.net/)




 カンヌ国際映画祭 体験記(昨年5月16日 〜 24日)はこちらです。

 (都合により、5月15日のみ別枠)



  道化師の記録


 5月17日(木曜日) 田内志文さんとの朗読ライブまであと8日。

 高校時代の同級生が急逝し、
 岐阜の多治見市まで朝一の新幹線で向かった。

 昨年、同じクラスの旧友を亡くし、
 これでこのクラスからは三人目だ。
 一人暮らしだったボクのアパートで、
 大人の流儀を少し早く覚えた仲間が次々と去っていく感がある。
 
 二人とも歯科医だった。
 本当なら、健康にはうるさい職業ではないのか。
 家族を残してどうして・・・という気持ちがあったが、
 棺の中の顔を見ると、
 最後まで頑張ったのだなということがよくわかった。

 それぞれに寿命がある。
 あまりに早く逝ってしまったような気もするが、
 与えられた己の時間を、
 彼は懸命に生き抜いたのだ。

 平均なんて意味がない。
 それぞれの立場で、それぞれの時間を生き抜くだけだ。
 悲しかったし、涙もこぼれたが、
 そうした覚悟をボクらみんなに与えた葬儀だった。



 

 5月16日(水曜日)田内志文さんとの朗読ライブまであと9日。

 人のいない名店『くしのはな』。
 最近はたまに混み合うこともあり、
 シェフ横山さんの実力が徐々に
 東京西部地方の噂になりつつあります。

 今日はそのシェフ横山さんの御生誕記念ハイク。
 高尾山口から相模湖までの14キロを、
 有志10人ほどで縦走しました。
 
 ゴールは、昨年『ものがたりのうぶごえ』小林直未さんの個展と、
 アルルカン洋菓子店のライブをやらせていただいたJR相模湖駅前の名店『かどや』さん。
 ワカサギのフライと生ビールを堪能させてもらいました。

 気候にも恵まれ、
 みんなの笑顔が美しい一日でした。


 

 5月15日(火曜日)田内志文さんとの朗読ライブまであと10日。

 CD-R録音でのアトリエ講座を申し込まれている皆さんに、
 4月後半分の「イエーツとアイルランド」を吹き込み、発送しました。
 実際の講座を録音したものではなく、
 新たに(一人で)語り直しているものです。

 今後は5月6月分として松尾芭蕉「奥の細道」を全4回にかけて収録、発送。
 7月以降は宮澤賢治とエミリ・ディキンソンをお送りする予定です。

 小説執筆とライブの合間をぬっての作業のため、
 かちっとした定期的な発送ができず、
 申し訳なく思っています。
 でも、月2回の発送、なんとか頑張りますね。

 6月3日(日曜日)昼12時より、
 祖師ケ谷大蔵のCHARTREUSE cafe(シャルトリューズ・カフェ)にて、
 『朗読ダイエット・ランチショー』を行います。
 チャージはありません。入場は無料です。
 (ランチショーとさせていただきますので、
 ランチメニューと飲み物をご注文ください)

 朗読で人は余分なお肉と不定愁訴を取っ払うことができるのか?
 被験者になったベル君とジャイアン君はこの半年で、
 二人足して80キロの減量に成功しました。
 でも、それはあくまでも副産物的な効果。
 朗読ダイエットには、もっともっと多方面での変化、恵みが訪れるのです。
 半年間の報告とともに、
 声の上でも芯ができつつある二人と、
 30分ほどのミニ朗読ライブも予定しています。

 心身ともに新しいことを始めてみたいと思われている皆さん、
 朗読で人生が変わった二人の、
 生の声を聞いてみて下さい。

 CHARTREUSE cafe
 世田谷区砧8-3-12
 (tel)03-6411-8663
 

 
 
 

 5月13日(日曜日)

 この十日間ほど、なにもかも滞っていて申し訳なかったです。
 とにかくこの二年、書いてはボツ、書いてはボツの長編小説が二本あるのですが、
 そのうちの一本をじっくりと、そして大胆に三度目の改稿!
 半ば祈りも込めてある出版社に送らせてもらいました。

 また、絵本の原稿を映画用に書いたり、
 ある基軸を生み出そうと試みた新たな原稿も今朝方一応の了を見て、
 ようやく息をつくことができたというところ。

 当初の予定では一週間前に
  「声の配達」の4月後半分「イエーツとアイルランド」や、
 プラネット・ウイスパーズを発送するつもりだったのですが、
 内的に天下分け目の決戦を行っており、
 遅れて明日から再開いたします。
 待っていただいている皆さん、ごめんなさいね。

 さて、今日は当アトリエにて「Bar Durian」。
 お酒を飲みながらの朗読ライブです。
 今日はトビキリの新作です。

 ほとんど徹夜明けなので、お酒が楽しみです。

 
 

 


 5月3 日(木曜日)

 旭川は19度だった。
 昨日よりは温度が下がったが、
 それでもまだ東京よりあつい。

 映画制作会社の方が、
 美瑛川のほとりにある「三浦綾子文学記念館」に連れていって下さった。

 作家の記念館って、難しいんです。
 よほどその作家が好きでない限り、
 既出の本と原稿が飾ってあるだけでは人を引き込む空間にならない。

 でも、連れていってもらって良かった。
 ボクは三浦綾子さんのものはたった二冊しか読んでいないのだけれど、
 生涯、病気と付き合われた彼女の壮絶な人生については、
 なにかの折りに読んだことがあり、かすかに知っているつもりだった。

 三浦綾子さんの人生を追うように、
 原稿と写真とで展示がなされている。
 一人の男性が現われ、静かな声で解説をして下さった。

 綾子さんといつもいっしょにおられて、
 パーキンソン病で筆がもてない綾子さんの代わりに
 二十数年代筆をされてきた夫の光世さんだった。

 亡くなられた方の記念館に行き、
 その方の分身とも言える人が目の前に現われることの、
 この不意打ちの感動。

 一冊本が出る度に、三浦綾子さんは光世さんに毛筆で礼状を書いている。
 それがひとつの壁にどーっと展示されているのだが、
 ここが圧巻で・・・。

 二人がクリスチャンだったから、という言い方だけではとても説明しがたい、
 究極の男女の在り方に触れたような気もして、
 美瑛川のエゾマツの林を歩いた。
 カラスも気持ちよさそうに歩いていた。
 大きなマツボックリを拾った。
 今仕上げにかかっている小説。
 その気持ちの横に置いておこうと思った。


 


 5月2日(水曜日)

 旭川は26度だった。
 うんと寒いところだというイメージがあったので、
 ヒートテックの下着など用意していったのだが、
 空港を降りた瞬間、「あつい」と思った。
 あれ? どうして? ここは鹿児島?

 大雪山連邦は雪をかぶっており、
 木々はまだ芽吹きの最中。
 どう見ても早春の大地なのだが、
 しかし本当に26度。
 旭川の街のみなさんはみな半袖で歩いている。
 雑木林には雪が残っているのにね。

 アルルカンでこれまで繰り返し公演してきた
 『クロコダイルの恋』。
 あれが原案となって、大地康雄さんの主演で『じんじん』という映画になります。
 (クランクインは今月25日。公開は来年春)
 ワニとイルカの物語を絵本にしようとする一人のやくざな男。
 ストーリーは今は言えませんが、ハンカチ必携かも。

 というわけで、
 映画に使用される絵本を描いて下さる絵本作家のあべ弘士先生と、
 今日は初のご対面。
 先生は旭山動物園で飼育係をされていた経験もあり、
 動物を主役にした絵本では日本一の売れっ子、大家です。
 
 ナメタガレイの塩焼きをつつきつつ、
 日本酒をぐびぐびやりながら
 動物や絵本についてのお話を聞く。

 まるで小学生に戻ったような気分で、
 アフリカのスコールのお話を聞く。

 ああ、最高の時間。

 映画のなかだけではなく、
 実際にあべ先生とボクとで、
 一冊の絵本を世に出せるといいなあ。


 
 


 5月1日(火曜日) 『ゲーテのコトバ』発売日です!

 ゲーテのコトバなのですが、
 ゲーテのコトバをきっかけに、
 ボクなりのいろいろ考えも広げています。
 
 ゲーテはたぶんに東洋的な思考の持ち主でもあり、
 文豪として、詩人として、恋多き人として、また旅人として、
 読者が豊かな気分になれる言葉をたくさん残してくれています。

 そのアドヴァンテージを最大限に利用して、
 今の時代の
 しかし決してどっぷりとはこの時代にひたっていない立場から、
 橋渡す者としてのコトバをてんこもりにさせてもらいました。

 旅のおともに。
 お酒のおともに。
 孤高のおともにぜひ一冊。

 ほんのひとつかふたつ、
 気に入ったコトバと出会うかもしれません。
 それで充分。
 きっとゲーテも喜ぶと思います。


 4月30日(月曜日) 『ゲーテのコトバ』発売は明日です!

 渋谷のユーロスペースで、
 アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーブルの靴磨き』を観る。
 混雑。
 入口のところでぼーっと立っていたら、
 小柄な高齢の女性に「ちょっと邪魔だよ」と言われてしまった。
 
 そんな殺気立っている渋谷から、
 スクリーンを通じて、ゆるゆるのカウリスマキワールドへ。

 昨年のカンヌ映画祭。
 『朱花の月』(河瀬直美監督) の助演俳優としてボクはレッドカーペットを歩いたのだが、
 初めて会場に踏み込む、という意味でのパレ初体験はその前日、
 カウリスマキ監督のこの作品のソアレを観る際であった。

 あの時、監督は煙草をくゆらせてカーペットを進んできた。
 確信犯だと思うが、警備員と一悶着あり、
 状況を映し出している会場が、
 すでにその段階でスタンディングオベーションの渦となった。

 かようにカウリスマキ監督は反骨である。
 この映画も、貧しい人々の温かな営みを描きつつ、
 はっきりと、移民を追い出す側の冷酷を叩いている。

 相変わらずゆるゆるで、
 突っ込みどころ満載の作品なのだが・・・
 半年に一度はカウリスマキを観ないと体に毒が溜まってくる。
 ちょうどいいところでの夢体験であった。

 映画のなかで俳優さんたちがワインばかり飲んでいるので、
 ユーロを出たあと、直行!


 
 
 
 


 4月29日(日曜日) 『ゲーテのコトバ』発売まであと2日。

 駒沢陸上競技場で、大学生のアメリカンフットボールの試合を観る。
 缶ビール片手。
 青空。
 それなりに混み合った客席。

 スタンドのかなり高いところに座ったので、
 ある大学のスカウティング(敵状視察)チームといっしょの席になってしまった。
 といっても、
 ビデオ撮影をしているのは女子大生。
 この子が双眼鏡を覗きながら、フィールドで起きていることを抑えた声で実況していく。
 『サードダウンロング、QB10番から左サイドラインぎりぎりへのパス。
 ターゲットは86番。あ、K大学65番負傷。倒れています』
 ずーっとこんな感じで、後ろで記録をとり続けていた。

 それぞれの若者に、それぞれの若い日々の過ごし方があるのだが、
 あの子は四年間、双眼鏡娘と化し、小さな声でひそひそとビデオに囁き続けるのだ。

 心配なのは、彼女の今後だ。
 社会人になってもやはり双眼鏡を構え、
 ターゲットとなる会社なりお宅なりを覗いているのではないだろうか。

 そんなことねえよ。
 と、つぶやき、ちょっとゆるゆるの試合を、
 冷たいビールできりりとさせたのであった。
 
 

 
 
 



 


 4月26日(木曜日) 『ゲーテのコトバ』発売まであと5日。

 朗読サイト『地と風の向こうに」で紹介してきた絶版本
 『食べる〜7通の手紙』。
 その7通目となる『親愛なる茅ヶ崎の詩人 和製ギンズバーグ様』を今日収録しました。
 録音をしてくれたのは、半片ブラザースのはんちゃん。
 
 これによって、『食べる〜7通の手紙』は収録を終え、
 まとめてダウンロードできる形になると思います。
 今少し時間をいただきますが、
 パッケージ化された時、
 またここでお知らせしますね。

 このところ、雨続きですね。
 植物には必要な日だけれど、
 人間の心のためには、
 そろそろ
 ぱーっと晴れてくれないかなあ、とも思います。

 
 
 

 4月25日(水曜日)

 今日、幻冬舎の担当の方が、
 できたてのほやほやの『ゲーテのコトバ』を届けて下さった。
 ほやほや10冊を前に積み、
 以前、新潟の方からいただいた越後ビールで乾杯。

 つい数日前まではこの世に存在していなかった本が目の前にあるのも、
 遠い雪国のビールを飲めるのも、
 みな、誰かが手を差し伸べてくれたお陰だ。
 あらゆることが、他者との関係のなかから生まれてくる。
 ありがたい。

 あ、そうそう。
 『ゲーテのコトバ』は書店への配本が少し遅れるようです。
 本来なら26日発売の予定だったのですが、
 並ぶのは5月1日とのこと。

 先走って伝えてしまいましたが、
 よろしくお願いします。



 
 
 

 4月24日(火曜日) 

 こちらも数年ぶりです。
 絶版本に個々のメッセージを入れてお送りする
 「世界で一冊の本」!
 本日出荷いたしました。

 出荷の時はみなさんに良いことがひっきりなしに起きるよう、
 世界中のアルマジロとともに祈りました!

 そしてこちらも久しぶり!
 twitter再開!
 (プラネットウイスパーズを一つずつ紹介していくよ!)
 Facebook再始動!
 (迷子ちゃん情報だよ。里親募集中だよ!)
 e-literatureも再び参加!
 (フランス語の新しい辞書を作るよ!)





 4月23日(月曜日)

 数年ぶりです。
 プラネット・ウイスパーズご注文の皆さん、本日出荷いたしました。
 店舗名やユーザー名が入ったものもあり、
 出荷の時はみなさんに良いことがあるよう、
 世界中のラクダ君とともに祈りました。

 初です。
 遠隔地にいらっしゃる方へのアトリエ講座「声の配達」!
 あらたに入手したCD−Rに吹き込み、
 イエーツの詩の原文や翻訳文とともに、本日出荷いたしました。
 出荷の時はみなさんに良いことが相次ぐよう、
 世界中のカワウソ君とともに祈りました。





 4月22日(日曜日)

 働きましたばい。
 ほんなごっつ朝早うから、
 夜深くまで。

 そして、i-Tunesに取り込んだ自分の声を、
 近所のパソコンショップで大量購入したCD-Rに録音していく!
 もうここまで来たらゴールは近し!
 と胸のなかで静かな歓声をあげたのが午前3時。
 (ホント、よく働いたよ、今日は)

 最初のCDが仕上がり、
 試しにとステレオにかけてみる。
 すでに作業台の上にはビールの用意が。
 さあ、どんな声かな?
 ただの地声だけど、どんなふうに聞こえてくるかな?
 ああ、ビールが楽しみだ。

 だが・・・聞こえてこない。
 聞こえてこないばかりか、
 ステレオが嫌がって、CDを弾き出してくる。

 あれ? おかしいな。

 まさかと思って、よくよくCD-Rのパッケージを見てみると、
 小さくこう書かれていた。
 「このCD−Rには音楽の録音はできません」。

 いや、あのですね。
 ローソン100で売っている100円のCD-R。
 あれも「データ用」と書いてあるけど、
 ちゃんと音の録音ができるんですよ。
 だから、一枚80円程度だからと大量購入したこのCD−Rも
 音を入れられるものだとばかり思っていまして・・・。

 ああ、でた。
 「安物買いの銭失い」

 もうパッケージを開けてしまったので、
 返品というわけにも行かない。
 トホホ、写真でも収録するか・・・。

 明日、またCD-Rを買いに行けばいいだけじゃないか。
 しかし近所のパソコンショップの音楽用CD−Rの値段は今回のものの倍はする。
 これから数多く制作するなら、
 これが一番適正価格というのを探さないといけないなあ、
 などとつぶやきながらアトリエでそのまま横になるが、
 迷い込んできた蚊に刺され、眠れず。

 

 4月21日(土曜日)

 とても安定した気分で仕事を再開。
 何年か休んでいた作業を復活させるとともに、
 この2年、堂々巡りをしていた小説の原稿も精力的に再構成!

 「声の配達」第一回分を明日録音するつもりなので、
 イエーツの詩作品をあらためて訳していく。
 アトリエでの講座の際は、
 日本語ですでに翻訳されているものを皆さんに紹介した。

 しかし、CDへ収める朗読であり、
 記録の残るものなのだから、
 ここは自分の言葉で訳するのが礼儀。
 アイルランドの方言や植物の名前などに手こずるが、
 なんとか意味が通じるように訳した。
 同時に、既出本の翻訳の誤りも発見し、
 それがかなり根幹に影響を与える言葉だったりするので、
 やはり自分で訳してみないといけないな、
 この作業、それなりに報われるなと思った。
 (もちろんボクの方が間違っている可能性もありますが)

 明日は、プラネット・ウイスパーズの制作とともに、
 誰もいないアトリエで、
 さも誰かに話し掛けているかのように録音を行います。

 

 


 4月20日(金曜日)

 マイナビの「俺が聞いちゃる!」。
 7年間の連載が終了した。
 その間担当をしていただいた方と、
 今日は打ち上げの酒を呑んだ。

 ワイン、ありがとう。
 全部、ありがとう。
 回答の拙文を読んで下さった皆さん、ありがとう。

 原稿にはしなかったものも含めると、
 この7年で、500を越える「働く悩み」と対峙してきました。

 しかしそれにしても・・・
 ジャンベルジャンが4年半。
 マイナビが7年。
 産経新聞が2年。
 朝日新聞は12 年めで続行中。

 わからないものだな、人の未来は。
 十代、二十代とお気楽に生きていて、
 その頃は人の苦悩に耳を傾ける立場になるなんて、
 想像すらしていなかった。

 でも、これだけやってくると、
 はっきりと見えてくることが幾つかあって・・・。
 
 肉体的な苦痛であれば、
 それはどうにかして取り除くよう、
 外側からの(治療とか引っ越しとか)処置が必要だ。
 でも、内側の苦悩は、
 その人本人が育ててしまっている例が多い。

 想像力の豊かな人に限って、
 苦悩もまた豊か? である。
 胸のなかに真っ暗な深淵を生み出してしまう。
 実際にはただの平地かもしれないところに。

 逆を言えば、それだけの想像力があるのだから、
 悩む人こそ、その力を創作に向けるべきだ。
 ある日を境に、
 すべての悩みを力に転化する、その決断をすべきだ。

 悩みがなくなる日なんてないよね、と人は言う。
 ところが、ある種の境地を一度体験すると、
 ほとんどの悩みは霧散してしまう。
 ボクにとっては、
 それが自然なものであるなら、
 死ぬことすら楽しみだ。

 そうしたところから振り返ると、
 残りの時間のなかで、
 無駄な悩みを増殖させている暇はない。
 その力と時間があるなら、
 越えてきた悩みを詩なり絵なり歌なりにした方がよほど良いと思う。
 あるいは一切を忘れ、
 無心でチキンライスでも作ってみることか。
 それも前進なのだ。

 厨房の仕事は、
 あれこれ書き連ねる文芸よりも、
 実は修行に適している。
 ただし、丁寧にやるならば。





 4月19日(木曜日)

 というわけで、胸のなかの昇ったり下ったりを終え、
 心の脱皮完了。
 やれやれ、なにかが新しくなる時というのは、
 それなりの汗をかくものですね。

 ただ、今回は、こうだからこうなったのです、と
 言葉で言えるような変化ではないのです。
 道化作家なのだから、本当は言葉を駆使すべきなのですが、
 敢えて説明しないということで、
 まだまだ自分のなかのこの温度ある部分を育んでいきたい。

 言葉にはしない。
 言葉を仕事とする者にも、
 それが大事な時はあります。

 また逆に、
 もやもやとした不定愁訴に苦しんでいるような時は、
 それがいったいなになのか、
 自分なりに書き出していった方がいいような夜もある。

 どちらを取るのか。
 それはもちろん、個々の自由です。

 

 4月18日(水曜日)

 心が少し落ちる。
 あるいは、体と精神のバランスがわずかに崩れる。
 というのは、慢性化するのと、時々ふとそれが訪れるのとでは、
 意味合いがまったく違うような気がする。

 自分の場合は、なにかマインドの上での発見があった時、
 またはこれまでとやり方を変えようという日々に差し掛かると、
 数日間の不安定さをまたぐ心的な現象が起こる。

 外側から見て、そんなに変化はないだろうし、
 特にひどく落ち込むわけでもない。
 でも、ザリガニに脱皮があるのと同じで、
 人間もまた、幾つになってもこれがある。
 脱皮中のザリガニは、スルメには飛びつけない。
 人もそう。
 精神の脱皮をやっている際、
 少し落ちたような感じで、その時を過ごすことになる。

 結果から言えば、だからこれはちっとも心配するようなことではなく、
 むしろ強靭になっていく魂を感じるほどだ。

 これからは、
 このサイトで綴るような文字のひとつひとつ、
 講座で話し掛ける言葉のひとつひとつが、
 たとえそれがCD-Rに録音されたものであったとしても、
 とても大事になってくる。

 ボクは僧侶ではなく、道化師だが、
 人にはみな、祈りがある。

 

 4月17日(火曜日)

 少し落ちていました。
 特に理由があるわけではなく、
 なにか、
 時のなかの見えないクレバスに足を取られたような。
 そしてその底から、
 エネルギーを奪う風に吹かれ、
 しばらくじっとしていたような。

 でも、プラネット・ウイスパーズや、
 世界で一冊の本や、
 声の配達を注文して下さる皆さんがいらっしゃって、
 そうしたひとつひとつの接点が、
 ボクを現世へと引き戻してくれます。

 どうしても形而上に流れやすい仕事をしているので、
 手にとって触れるもので、
 皆さんとつながれることの新鮮さ、面白さをあらためて感じています。

 なにもかも、空(くう)が本質ではありますが、
 さればこそ、
 一瞬でも、ものとして形を成すこれらの現象に、
 愛おしさを覚えます。

 このサイトを読んで下さったり、
 反応して下さる皆さん、
 いつも本当にありがとう。


 

 4月16日(月曜日)

 Success is counted sweetest
 By those who ne’er succeed
 To comprehend a nectar
 Requires sorest need.

 Not one of all the purple Host
 Who took the Flag today
 Can tell the definition
 So clear of Victory

 As he defeated−−−dying−−−
 On whose forbidden ear
 The distant strains of triumph
 Burst agonized and clear!  

 成功をもっとも甘美だと思うのは
 一度も成功したことのない人たち。
 美酒の味を知るためには
 極限の乾きが必要だ。

 今日敵の旗を奪い、
 勝利を得た軍勢の誰一人として
 勝利とはなにか
 はっきりと定義することはできない

 敗れた兵士−−死につつある−−
 聞こえなくなっていくその耳に
 遠くで勝ち誇っている敵の声が
 苦しく、はっきりと聞こえる兵士のようには!

                (エミリ・ディキンソン)



 4月15日(日曜日)

 To fight aloud, is very brave
 But gallanter, I know
 Who charge within the bosom
 The Cavalry of Woe

 Who win, and nations do not see−−
 Who fall−−−− and none observe
 Whose dying eyes, no Country
 Regards with patriot love−−−

 We trust, in plumed procession
 For such, the Angels go
 Rank after Rank, with even feet−−−
 And Uniforms of Snow.

 声をあげて戦うことは、とても勇敢だ
 でも、思う。もっと勇ましいのは、
 心のなかで突撃する
 哀しみの騎兵隊

 勝利しても、誰一人見てくれない
 倒れても−−−誰も気にしない
 その死につつある目を、誰も
 愛国者への愛をもって見ようとはしない

 私たちは信じる。
 その哀しみの騎兵隊のために、
 羽根をまとって天使は行進すると
 列を組み、足並そろえ
 雪の制服を着て。

             (エミリ・ディキンソン)



 4月14日(土曜日)

 すいません、皆さん。
 肝心のメールアドレスが間違っていました。
 教えていただいた方、ありがとう。

 
 

 4月13日(金曜日)

 当サイトの内容を各パートで書き換えつつあります。
 「プラネット・ウイスパーズ」「世界で一冊の本」
 「声の配達」など、直販に関するものはすべて、
 「アルルカンの市場」にまとめました。
 
 アトリエを開いたのが2006年の秋のこと。
 ウイスパーズの注文が殺到して、
 徹夜でカードを切っていたことを思い出します。
 
 今回は、カードの表面(メッセージが印刷されていない面)に、
 注文をして下さった方の名前、店名、電話番号などを入れる技術があります。
 名刺代わりにもなります。
 ぜひ、おつかい下さい。


 
 

 4月12日(木曜日)

 京都の事故。
 あれは四条の橋を渡って、八坂の方にちょっと進んで、
 一銭洋食屋のある、あの交差点ですね。
 北に向かえば白川が流れていて、
 辰巳の神様が祀られているところ。

 京都で一番好きな場所だっただけに、
 今日の午後は気持ちが不安定になっている。
 事故の原因が、
 運転手のてんかんがどうだとか言われているけれど・・・
 事故に遭ってしまった人たちからすれば、
 これ以上の不条理はないわけで。
 
 こんなことを今言うのは不謹慎かもしれない。
 でも、思います。
 本当にボクらの生存というのは紙一重の偶然の上にあって、
 いつ果てるかということは誰にもわからない。
 だからこそ、
 他人がどう言おうが、世間のものさしがどうであろうが、
 今日で人生が終わりでも、
 これでよかったのだと、
 うなづけるだけの感受性を確保しておきたいと思う。

 自分の場合は、
 すでにもうたくさんのことに満足しているし、
 感謝もしています。
 でも、これからやるべきことがあるので、
 それは十年なりやってみないと、
 後悔が残る。
 自身の日々を傍観している余裕はない。


 4月11日(水曜日)

 強き風、強き雨のあとで、
 空から霞がゆっくりと降りてきた。
 突然の無風。
 泳ぐように自転車を漕ぎ、
 何百万という桜の花びらが張り付いた夜道を進んだ。

 季節も少しずつ歳をとっていく。
 けれども巡って、蘇る。

 何か、また激しい欲求が湧いてきて、
 言葉の海を突き進んでいる。
 こちらは今、凪ぎを迎えたわけではなく、
 むしろ激しい風、激しい雨。


 

 

 4月10日(火曜日)

 星加海(ほしかうみ)さん(ご本名です)の個展を観に茅ヶ崎へ。
 彼女はいつも道化師を描いてくれるので、
 ボクのコレクションは青道化師に加え、
 本日より赤道化師が増えました。
 星加さんはよくライブにもいらっしゃるので、
 ご存知の方も多いはず。
 世界中を歩きながら彼女が描きためた作品が、
 少女の頭のなかのドリームランド(古いか)のように
 ギャラリーに咲き乱れておりました。

 帰り、茅ヶ崎の防波堤の尖端で缶ビールを呑んだ。
 ここで同じようにビールを呑みながら釣りをしていたのは、
 もう二十年以上も前の話。
 時は過ぎたな。みんな、どうしているだろう。

 そうそう。今、このサイトは衣替え中です。
 『夕焼けポスト』は近いうちに『アルルカンの市場』に変わります。
 これまでいただいたお悩みのメールは、
 実はインターネットTVでお見せする方の『夕焼けポスト』で
 すでに収録済みなのですが、
 その会社のインフラ整備に時間がかかっているため、
 2月スタートが5月に持ち越しになっているのです。
 『夕焼けポスト』に投稿された方、
 もう少しお待ち下さい。

 『おしらせとクラリネット』は、
 ライブの新情報が増えています。
 一度ご覧下さい。
 5月から7月にかけてはライブラッシュ。
 『愛の歌合戦』シャンソンVSカンツオーネ対決をやる新宿ゴールデン街の盟友、
  小倉浩二さんがフライヤーを作ってくれたので、
 こちらも発表!
 
 ビストロ「くしのはな」で、
 酔っぱらったせいか滑舌がおかしくなり、
 シメでナポリタンを注文したところ、
 このようなものが運ばれてきました。
 「ナポリ丼」に聞こえたようです。
 これがまたとてもおいしかった。

 4月9日(月曜日)

 何となく、このサイトの文字表記が変わったような気がしませんか?
 まだ手を付けられるところからしか始めていないので、
 全体の五分の一も直っていませんが、
 2004年の夏からスタートしたこのサイト。
 (当時は「森のくまパン」というタイトルでした)
 大きな間違いに気付かずに、
 つい昨日まで更新を重ねていたのです。

 ボクはDream Weaverというソフトを使っています。
 ブログですら古くなった感があるこの時代に、
 さらに昔からのソフトを使って(まあ、でもversion8です)
 かなりの手作り感丸出しで、
 こうやって日夜文字を打ち込んでいるわけです。

 それで、文字を揃えるために、
 CSSという鋳型を通すのですが、
 なんと! 昨日の昨日まで、
 フォント指定のところに文字サイズの数字を打ち込んでいただよ!

 どうりで見た目が美しくなかったわけだ。
 ほとんど考えず、習慣のようにCSSを作成していたため、
 フォントとサイズが逆になっていることに
 8年近くも気付かなかったというこのマヌケぶり。

 ああ・・・なんだかなあ・・・。

 

 4月8日(日曜日)

 二年間温めてきた小説を、
 今また毎日少しずつ書き直していて、
 とても幸せなことに今、
 方針とやり方がはっきりと見えている。
 こんなことは、
 1997年に処女小説『ベルリン発プラハ』(幻冬舎)を上梓して以来
 初めてのことだ。

 つまり、
 ボクは物書きとしての自分のスタイルをようやく得た。
 これは自分が根底からの朗読者であることに
 気付いたのが大きい。

 作家でもあり、道化でもあり、朗読者でもある、
 ということではなかったのだ。
 朗読者が、自分が読む原稿を必要としている。
 そのための作品なのだ。
 朗読者が、ステージの上でもっとも力を発揮できるスタイルを欲した。
 そのための道化師なのだ。

 おおっ!
 こんな日がくるなんて!

 なにもかもが今ひとつになり、
 一切の余分なく溶け合っている!


 
 

 4月7日(土曜日)

 三浦半島の芸術家グループ、葉山芸大に呼ばれてのライブ。
 場所は、六麓荘の洋館もぶっ飛ぶような、
 ある方の白亜の大別荘であった。
 広大な窓からドーンと相模湾が見おろせる豪邸。
 目の前に落ちていく太陽。
 景色だけならここはソレント?

 ああ・・・、日本にもこういう暮らしをされている方がいらしたのね。
 ライブ会場はこの別荘の寝室のひとつで、
 数十名の客が入ったが、まだ余裕があった。
 キングサイズのベッドに腰掛けてご覧になっている方も何人か。

 というと、何だか反発を感じてしまうかもしれないが、
 種類が違うというか、我らが反発を感じるレベルを完全に越えているので、
 何というかこう・・・ここまでくると、すがすがしい。
 今度弁当持参で来ますから、
 またゆっくり夕陽を見せて下さいな、 という感じ。
 

 さて、ライブだが、
 ボクらのショーは豪邸のサイズまでは膨らまず、
 今日は幾つかのミスが出てしまった。
 主に、歌でのミス。
 出来のいい時と悪い時があるというのは、
 自ら素人ですと喧伝しているようなもの。

 プロなら、どんな状況でのライブであろうと、
 100回歌って、100回とも同じように歌えなければならない。
 つまりは、研究が足りないのである。
 どんな言い訳もできない。
 足りない、に尽きる。
 偶然性は排除しなければならない。

 ピクルス田村のギターは、
 日を重ねるごとにスプレンディッドになっている。
 自分もまだ、伸びていかなければいけないはずなのだが。

 
 

 

 
 


 4月6日(金曜日)

 震災復興に向けて日米英17人の作家と詩人が結集して編まれた
 『それでも三月は、また』(講談社)
 米英では、それぞれの国のランダムハウス社より
 『March was made of yarn』というタイトルで同時発売されたと、
 以前このサイトでお知らせしました。

 ボクの作品『箱のはなし』が、アルフレッド・バーンバウムさんの訳により、
 『BOX STORY』として米英でも読まれるようになったわけです。
 そして、ありがたいことに、
 英国のインテリジェンス雑誌『PROSPECT MAGAZINE』に於いて、
 『BOX STORY』の単独掲載が決定。
 刊行されたばかりのものを、
 ある人が方々手を尽くして送ってくれました。

 

 チャリティーから始まった創作ですので、
 そうした意味合いもあっての掲載でしょう。
 また、バーンバウムさんの素晴らしい英訳があって、
 初めて実現したことです。
 これが英国デビュー。
 今号はちょっと物騒な表紙のPROSPECT誌ですが、
 目次にはTetsuya Akikawaと 大きく出ています。

 ちなみに、ご覧のようにプロフィール欄には、
 Clownとも書いてくれています。

 驚いたのは、掲載が決まって一ヶ月後の発行だというのに、
 美しい絵が添えられていたことです。
 画家の名前は LUKE BEST さん。
 まさにこの物語のために描かれた絵。
 消えていきつつも、新たな存在に生まれ変わる
 MISS SATOのために、彼が描いてくれた絵です。

 この雑誌は日本では手に入らないそうです。
 でも、本当にありがたい。
 機会を下さった辛島デイヴィッドさんを始め、
 関係者の皆さんに深く感謝しています。

                                             BY LUKE BEST
 

 4月5日(木曜日)

 それぞれの人に最適の生き方があって、
 本当は誰もがその気配を察知しつつ生きているのだが、
 内外ともに目を曇らせるものがある。

 たとえば作家を志せば、そして何冊か小説でも出せば、
 賞とやらが欲しくなるのも人情で、
 事実、それがないと一人前だとは思われないし、
 売上に直接反映してくるので、死活問題となる。

 だが、そうしたものに縛られてしまうと、
 本来その人に一番向いていたもの、
 その素養と、独自の発展性が、
 気付かぬうちにかしいでしまうのである。

 ボクとて生活がある。
 売れなければその出版社から次の声はもうかからない。
 焦りもある。
 多くの人に認められたいという気持ち以上に、
 この世界で生存できるのかどうか、
 という一点に於いて、
 「売れなければいけない」という意識にがんじがらめになっていた。

 いや、それでも売れればいいですよ。
 でも、この十年景気のいい話はあまりなかった。

 一昨日の、すごく強い風が吹いた日。
 ボクはもう二度と読むことのない大量の本を捨てた。
 心がぐちゃぐちゃに痛みはしたが、
 サヨナラを告げた。
 それは、いつの間にか自分を縛り付けていたある意識との訣別であった。

 自分なりのやり方で生きていこうと思う。
 
 朗読をする道化師として、
 声の作品にしてこなかったものがたくさんある。
 絶版となった本、
 またアトリエでの講座や、川崎ウイザードセンターの講座は
 以前からお伝えしているように声の講座として残していくが、
 たとえば今最終回を迎えているマイナビの『俺が聞いちゃる』や、
 12年にわたり延々とやっている朝日新聞の人世相談的エッセイなども、
 己の仕様に書き換えた上で、
 声の作品として残して行こうと思う。

 詩集だってそうだ。
 出版社に頭を下げて作ってもらう必要はない。
 少し見栄えは悪いかもしれないが、
 自分で製本した詩集に声のCDを付ける。
 
 声の作家として、小さな小さな出版社の旗揚げだ。
 今年の夏は、この二年関わってきた小説を仕上げるとともに、
 このことを自分の仕事にしようと思う。

 世間では目立たなくても、
 誰にだって最適の生き方はある。
 誰にだってね。

 『チェルノブイリ〜フクシマ』
 ピエロパオロ氏の写真とのコラボレーションライブですが、
 7月11日(水曜日)@関内大ホールの前に、
 7月4日(水曜日)@新宿LEFKADAが決まりました。
 朗読者として怒濤の夏になりそうです。


 


 

 4月4日(水曜日)

 あの嵐から一夜明けて。
 ようやく桜もほころび始め、
 蕾が開いたその甘い隙間から春がこぼれ落ちています。

 しかし・・・昨日の風。
 路傍には破れた傘の残骸があり、
 なかなか楽には次の季節と巡り合わせてくれないのだなと、
 人の生きる日々とも重ね合わせて考えてしまいますね。

 多摩川べりを歩いていると、
 富士山はまだ真っ白。
 地上で唯一の白い構築物であるかのように、
 堂々と天を向いている。
 でも、ついこの間まで同じく白い化粧をほどこしていた
 丹沢や奥多摩の山々は春の霞の向こうで青黒く見えています。

 山を覆う雪は、いつかは消えていく挫折にも似ている。
 そして新しい季節がくる。

 この春から夏にかけての新しいライブ情報など書き込んでおきました。
 (まだ今後増えます)
 もし良かったら見ておいて下さい。

 6月23日(土曜日)にシャンソンVSカンツオーネ対決をする
 小倉浩二さんがカラーのフライヤーを作ってくれました。
 配布をして下さる方に限り、10部ずつお送りします。
 希望者はメール欄で教えて下さい。



 4月3日(火曜日)

 花に嵐のたとえはありますが、
 本当に台風の直撃をくらったかのような
 凄みのある風でした。

 ボクはその風と雨のなか、
 ずぶ濡れになりながらヴォイストレーニングのスタジオへと向かったのですが、
 代々木のドコモビル(エンパイアステートビルディングに似せたあのビルです)が、
 巨大な風笛と化して、
 ブオーゴゴオーゴゴーバー、と雲を二分するように歌っていたのでしばらく眺めてしまいました。

 そして、レッスンはさんざん。
 体にしみ込んでしまっている癖と、
 歌いだしの癖の二つの無意識な悪癖を指摘されたせいか、
 楽譜集を置いて帰ってきてしまった。
 四年目にして初めての忘れものです。
 
 ブオーゴゴオーゴゴーバーの風笛を聞いたせいかもしれません。

 いつも思う。
 こんな時、小鳥たちはどうしているのだろう?
 


 4月2日(月曜日) 

 今週末は、湘南のアーティストグループに招かれ、
 葉山でのシークレットのライブになる。
 観客五十人全員が表現者だ。
 自分にとってこれは初めての経験だけれども、
 まっとうに考えてプレッシャーにつぶされそうになるより、
 まずは素直に、招聘していただけたことに感謝したい。

 「道化師カプレーラからの手紙」、
 湘南の皆さんに届けたいと思います。

 ところで、
 講座や朗読をi-tunesに取り込んで、
 プレイリストを作ってからCD-Rに録音しようと思うのですが、
 手持ちのデジタル録音機では、WMAにしかならず、
 うーん、これから先どうすればいいのだろうと迷っていたところで、
 半片ブラザーズのはんちゃんが知恵を貸してくれました。

 なんと、灯台下暗し。
 今はiPhoneのヴォイスメモで、
 i-tunesと同期できてしまうのですね。
 モノ録音なのでここを何とかしなければいけませんが、
 iPhoneに向かって話したことが、
 すぐにパソコンに反映され、あとはCD-Rに入れるだけとなった時、
 ちょっと感動しました。

 今日はかなり前進。


 


 4月1日(日曜日)

 今月より、アトリエ講座「詩と朗読」、
 および川崎ウイザードセンターでの講座「世界の詩と言葉」の2クラスにつき、
 音声でのサービスを始めます。
 遠隔地にいらっしゃって受講できない方、
 通っているけれど休みがちな方、
 また講座には参加したものの、音声での記録を残しておきたいという方、
 CD-Rでお届けします。

 内容は、実際の講座を録音したものもあれば、
 あらためて語り直すものもあります。

 器材のチェックなどをしつつ、
 今月中旬までには発送できるよう環境を整えていきますので、
 聞いてみたいなという方、
 メール欄でどしどしお申し込み下さい。

 ちなみに、アトリエ講座は今月、来月と松尾芭蕉「おくのほそ道」。
 川崎での講座は「宮澤賢治」を経て、「エミリ・ディキンソン」に入ります。

 このラインナップもわかりやすい一覧を作りますね。



 

 3月31日(土曜日)

 今月は目の前のことをこなしていくのが精一杯で、
 がむしゃらに峠は越えたけれども、
 シンプルにこうだと言い切れる月ではなかった。
 
 このサイトの更新も途絶え気味でした。
 本当。日々を越えていくだけでやっとでした。
 
 明日から4月。
 自分にとっては仕事の上で、
 新しい世界を展開していく大事な月となります。
 これはある意味で基本に立ち戻ることでもあり、
 以前このサイトで扱っていた
 「PLANET WHISPERS」や「世界で一冊の本」の販売再開とともに、
 言葉を皆さんに届ける作品をひとつひとつ作っていく、
 音声工房としての始まりでもあります。

 サイトを一気にリニューアルというわけにはいきませんが、
 4月上旬の時間をかけて、
 今後の方向性を打ち出す内容に変えていきたいと思います。
 何日かに一度ずつでもいいので見てやって下さい。

 いやー、しかし、今日の風は強かったねえ。
 逆風の中では、街を行く人たちもみんなしかめっ面になっていた。
 色々あるけれど・・・
 乗り越えて行きましょう。我らの日々も。

 

 3月27日(火曜日)

 近所のビストロ『くしのはな』が、
 j-comのテレビ番組に出ることになりました。
 今日はその撮影日。
 お客役としてカウンターに座っていましたが、
 もちろん道化師の姿形で。

 レポーターのヒーロさん「あの、あの人もよくいらっしゃるんですか?」
 横山シェフ「ええ。よくきますよ」
 ヒーロさん「だって、あの人・・・ピエロですよね」
 横山シェフ「はい。近所のピエロです」

 といったやりとりを眺めつつ、
 こちとら酔っぱらったわい。

 


 3月26日(月曜日)

 月曜シャンソン『詩とシャンソンの夕べ』におこしいただいた皆さん、
 ありがとうございました。
 ボクらの出番が9時からと遅かったため、
 途中で(あるいは始まる前に)帰られた方も何人かいらっしゃったようです。
 その皆さんには申し訳ありませんでした。

 今回の新作『道化師カプレーラからの手紙』は、
 補強修繕をした上で、
 6月23日(土曜日)の小倉浩二さんとのジョイントライブで、
 あらためて披露させていただきます。
 (もうすぐ詳細を発表できます)

 今日は・・・
 冒頭でオスカーワイルドを朗読された磯田恵子さん、
 ヴァイオリンとギターのユニット『アズーベール 』、
 圧倒的な歌唱力とその美貌で女性客の心をむんずとつかんでしまったNEROさん、
 そして、登場しただけで女性客のすべてを吸い取ってしまった戸川昌子さん。
 高いレベルのパフォーマンスが続いたため、
 楽屋で「どうする、俺たち?」と、
 ピクルス田村君と顔を見合わせていた次第です。

 やはり、放っているものが違いますね。
 戸川さんとNEROさん。
 NEROさんが母親への愛を美しいオカマとして歌い上げ、
 戸川さんが息子との近親相姦をテーマに歌う。
 この間に入っていけるものなどありません。

 とはいえ、
 ボクらもボクらなりのステージをやったという気持ちでいます。
 (修繕はしますが)
 カンツォーネ連発での60分一本勝負。
 つくづく感じたのは、歌は体力なのだということ。
 そしてこれは勘所があっての体の使い方です。
 つくづく、学ぶことばかりです。
 

 


 3月25日(日曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブは明日。

 明日、ボクら新生「アルルカン」は詩とカンツオーネを取り混ぜた60分の新作を披露します。
 タイトルは『道化師カプレーラからの手紙』。
 
 明日の進行はこんなふうになっているようです。
 (@SARABAH TOKYO 渋谷東急文化村の真裏)
 
 18時00分 開場
 18時30分 開演 アズールベール演奏
 18時40分 トーク&オープンマイク 詩や言葉の話
      (戸川昌子さん、NEROさん、ドリアンその他出演)
 19時00分 休憩
 19時15分 アズールベール演奏
 19時25分 NEROさんステージ
 19時55分 休憩
 20時10分 アズールベール演奏
 20時20分 戸川昌子さんステージ
 20時50分 休憩
 21時05分 アルルカンステージ
 22時05分 フィナーレ

 ということで、新生アルルカンの出番は9時を回った頃からですが、
 シャンソンに生きるNEROさんと戸川昌子さんのステージは魅力。
 長時間のライブになりますが、明日はたっぷり楽しんで下さい。


 

 3月23日(金曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと3日。

 先日一報いたしましたミラノ国際映画祭!
 読売新聞の関西版によりますと、
 そうではなくて、ミラノで行われた「女性のための映画祭」だそうです。
 グランプリということだそうですが、
 こちらには全然情報が入ってきていないので、失礼しました。

 それと、三日後に迫ってきましたライブです。
 ギタリスト田村昇輝クンもぜひアルルカンになってみたいとのこと。
 よって、ここに新ユニット「アルルカン」の誕生とさせてもらいます。

 MITSU君と三年にわたりやってきました「アルルカン洋菓子店」。
 昨年からボクは一人アルルカンとしてステージを続けてきましたが、
 これでまた二人でやる機会が増えそうです。
 そこで新旧を区別するため、「洋菓子店」を取り、
 単純に「ARLEQUINS」(アルルカン)とします。
 本当なら、アルルカンズとしたいところですが、
 フランス語は語尾の複数形のSを発音しないため、
 そのままアルルカンとなります。

 

 3月21日(水曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと5日。

 最近、各頁の更新が滞っていて申し訳ないです。
 ライブに向けて気の張った時間が流れているとともに、
 膨大な量の作業をこなさなければいけない日が続いていて、
 峠を越えるまで、ただただ前を向いての辛抱があるのみです。

 そんななか、
 管啓次郎さんが『夕焼けポスト』の書評を書いて下さいました。
 今週売りの週刊朝日です。
 一頁丸々にわたって評して下さり、
 朗読者としてのボクへの励ましの言葉にあふれています。

 管さんに深く感謝するとともに、
 やはりこの道なのだと、
 意をあらためて強くしているところです。

 管さんからのドリアン助川評、
 ぜひ読んでみて下さい。



 3月17日(土曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと9日。

 アトリエ講座ですが、
 新設した火曜日に1名しか申し込みがなかったため、
 休止とします。
 申し込まれた方、ごめんなさい。

 よって、今後のアトリエ講座は、
 第1、第3日曜日の午後7時から2時間。
 この月2回のみになります。

 また、川崎ウイザードセンターでやっている
 「世界の詩と言葉」
 こちらは、第1、第3水曜日の午後7時半から2時間。
 アトリエ講座よりも、実はこちらの方が大声を出せ、
 市川団十郎の十八番「外郎売」の鍛錬などもありますので、
 ストレス発散にもってこいです。

 なお、遠隔地にお住まいの方から、
 講座の録音が手に入らないかという問い合わせがこれまでに
 何度もありました。

 これ、本気で考えることにします。
 4月より、講座で使っているプリントと、
 ボクの講義、朗読を録音したCDを販売したいと思っています。
 興味がある方、メール欄で申し込んで下さいね。

 (今後のラインナップ)
  アトリエ講座「詩と朗読」
 「アイルランドとケルト、詩人イエーツ」「松尾芭蕉 奥の細道」・・・

  ウイザードセンター「世界の詩と言葉」
 「宮澤賢治」「エミリ・ディキンソン」「寺山修司」「アルチュール・ランボー」・・・

 
 


 3月16日(金曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと10日。

 このところずっと更新がなくてごめんなさい。
 朗読ダイエットの二人も、
 毎日日記を送ってくれているのに、
 アップする時間がありませんでした。

 26日のライブ、新作台本が本日ようやく仕上がりました。
 また、かかりきりであった(ほとんど缶詰!)
 来月26日発売の『ゲーテの言葉』(幻冬舎ビジネス新書)、
 本日、脱稿いたしました!

 それと、たった今、女優の大島ハコさんから入った連絡ですが、
 ボクらが出演した『朱色(はねず)の月』(河瀬直美監督)、
 ミラノ国際映画祭でグランプリをとった模様です。



 3月11日(火曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと15日。

 あれから一年ですね。
 新聞紙面で被災地からの報道を読むにつけ、
 空白のあとの、
 より増幅する哀しみというものが伝わってきます。

 遺族にとっては、
 接していた命が哀しみの形となって胸に宿るわけで、
 風化するということはありません。
 残された人が生きている間、
 失われた人も別の形で生きるということになる。

 私たちには、脱原発という大きな課題が残されました。
 なんだかもう終わったような雰囲気になっていることが信じ難いのですが、
 今も福島第一からは放射性物質があふれ出ています。
 事故直後に比べればその量が減ったというだけで、
 止まったわけではない。
 累積すれば、子供たちや妊婦に大きな影響を与える猛毒が垂れ流されている。
 恐ろしいことは、これから数年後に起きる。
 その可能性は、チェルノブイリ、ベラルーシの歴史が、
 なまなましく実例をもって示しています。

 なのになぜ、いまだ
 再稼動を望む声が、大手保守系新聞社を始め、
 多数の声として在り続けるのか。
 これがわからないところです。
 
 ひょっとすると、国を二分するほどの、
 大きなぶつかり合いの時代がくるかもしれませんね。
 それぐらい、この問題は大きい。

 今日、デモをした人たちや、
 国会を囲んだ人たちに対し、  
 「左翼」のひとことで済ませ、斬り捨ててしまう人たちを、
 ボクは憎みます。

 「飛び出し注意」の看板の下を、
 先日、猫が飛び出していきました。
 猫だからしょうがないもんなあ。
 字、読めないし。と、思ったのですが、
 二千年後ぐらい先の人類が今のボクらを見たら、
 飛び出してしまった猫と同じような存在だと思われるかもしれません。

 どうしてあの時代の人類は、
 大地を永々と汚す物質を拡散させてしまったのだろうか。
 なぜ、飛び出してしまったのだろう?
 その欲望はどこから?

 


 
3月5日(月曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと21日。

 めずらしく忙しい日が続いており、
 なかなか更新できませんでした。
 
 冷たい雨が降るなか、
 アトリエの植物たちは今日も沈黙を守ったまま、
 緑の葉を未来時間に向けて広げています。
 そして雑草たちが花を咲かせ、
 昼間は笑い、夜は寝ている。

 「詩と朗読」クラスで、
 今月は、イエーツとアイルランド(ケルト神話)を始めました。
 イエーツは、自然の表出の向こうに、超自然的な存在を見ている。
 そうした力を、
 ケルトの神々ならずとも、このアトリエの鉢植えのひとつひとつにも感じるのです。

 神話は遠い昔にあるのではなく、
 目の前で生きようとしているひとつの雑草の命にも宿っている。

 幻冬舎の月刊誌『ゲーテ』の巻頭でこの6年間、
 『ゲーテの言葉』というエッセイを書いてきました。
 (今も続行中)
 ここに加筆訂正を施し、
 来月26日、幻冬舎ビジネス新書から『ゲーテのコトバ』として刊行が決まりました。

 雑誌としては手に取りにくかったという人もいらっしゃるかと思います。
 まとめ読みのチャンスです。
 ぜひ、御一読を。



 2月29日(水曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと26日。

 今日は一日雪でしたね。
 昨夜は遅くなってから酔っぱらいの来訪者があり、
 アトリエで朝方まで盃を重ねたため、
 雪見酒となりました。

 明日から3月です。

 アトリエ講座に通われている皆さんは、
 火曜日クラスと日曜クラスに分かれます。
 また、新しく始まる語学クラスに参加される方、
 メールで申し込んで下さい。



 2月25日(土曜日) 戸川昌子さん、NEROさんとのシャンソンライブまであと30日。

 東日本大震災への義援金チャリティー本として、
 日米英の三ヶ国で発売される
 『それでも三月は、また』(日本版は講談社)
 (英米タイトル『March was mede of yarn』ランダムハウス社)
 の、日本版と米国版の見本が届きました。
 
 日本版(2月24日発売)
 米国版(3月6日発売)
 作家印税のすべてと、
 出版社売上の一部が義援金になります。
 皆さま、よろしくお願いいたします。
 日本版と、米英版を買うと、
 英語の勉強にもなるよ。


 2月24日(金曜日) 東中野ポレポレライブ当日。

 月乃光司さん、あなたのお陰で濃密で温かな時間を過ごすことができました。
 今度はメイク時間と重ならないよう、最初からあなたのステージを見たいと思います。
 
 福島泰樹さん、二十年前に初めて受けた衝撃を、またもや、
 いや、倍加さえして直球で受けました。
 一本道を歩まれてきた方のみが持てる迫力。
 また、数々の言葉をかけていただき、ありがとうございました。

 田村輝晃くん、初コンビでしたね。本番で一番輝く人だと知り、
 それならどんどん本番をやっていこうと思った次第です。
 今後ともよろしく。

 香山リカさん。十数年前にたった一度会っただけなのに、
 覚えていて下さってありがとうございます。

 そして雨のなか、お集りいただいた皆さん。
 「生きづらさ」という言葉が何度も出てきましたが、
 ボロボロになろうと、叩かれようと、無視されようと、
 それを乗り越えてきたからこそ、
 昨日のような夜をいっしょに体験できるのですね。

 たくさんの拍手をありがとう。
 みなさん、おめでとう。
 

 



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